2017年8月7日

第32回 脚本あっての怪獣デザイン

 成田亨美術監督には、自宅、銀座の画廊、新しいアトリエと5回ほど取材させてもらった。いつも成田さんが言っていたのは、映画デザインというのは、まず脚本あってのことで、『ウルトラセブン』の頃になると、製作部がスケジュールを稼ぎたくて「脚本とは別に、怪獣デザインだけを先に上げて、後で合わせればいいじゃないですか」と言い出したので「僕はそのやり方には絶対反対する!」と何度も猛反発したという。

「ガラモンだって、何故あのデザインになったのか。金城哲夫の脚本があって、隕石に乗って飛来するロボット怪獣。チルソナイト製の隕石。それが蒸気を噴いて割れると立ち上がる山のような何か。背が山肌に生えた木のような突起に覆われているロボットのボディ。今まで人類が見たことのないメンタルの宇宙文明が生んだ機械生命体……ただのメカニックじゃつまらないと考えているうちに、干からびた骨のような手を思いついて、そこから何か骨っぽい足、魚のコチみたいな口、つぶらな目とアイデアが広がっていった。」

「途中で的場徹特技監督が高橋実さんという、身長の小さな廃品回収業者の人を連れてきて、この人にぬいぐるみを着せたいというので、ああいうボディーラインになった。脚本の金城君のイメージがあって、あのデザインが生まれた。ウルトラ怪獣はガラモンから始まる。ようやく目が開いた感じだったよね」
 と成田さんは語ってくれた。


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