「地底超特急西へ」では運転士として俳優・奥村公延がいい味を出しているが、脚本家の金城哲夫が車掌役で共演して、奥村といっしょにちゃんとギャグの演技まで繰り広げている。
飯島敏宏監督は1979年頃、こう語ってくれた。
「奥村さんの運転士、いいでしょう? あの人の味が僕は好きでね。他の作品でも使ってますよ。円谷一さんも使ってなかったっけ。TBSによく顔を出していたんです。金ちゃん(金城哲夫の愛称)は出たがりで、目も大きいし、けっこう演技も上手いんだ。やり過ぎかと思ったけど、奥村さんが上手いから、うまくはまったね」
「僕は東京の本郷の洋服屋の息子で、東大の三四郎池の周りや谷中で遊んだりした下町っ子なもんで、イタチとか、ああいう少年をつい描いちゃうんだけど、ギャグにしているつもりはなくて、サスペンスの中に子供を置いたら、シリアスなだけじゃないだろうと思うんだ」
「M1号のぬいぐるみは手が途中までしか上がらなくて、中に入る中村晴吉さんから〝手が動かないよ、これ〟と文句を言われたよ。
あと、いなづま号がホームに入ってくるカットで、東京駅のそばの大丸デパートの地下街がオープンする前に借りて撮影したんだけど、合成の中野稔が〝あれっ、監督。前の翼でホームにいる人間の首を切っちゃいますよ〟と言って、1コマ1コマ、移動マスクで翼を消して合成してるか、ホームの床を足して人間と列車の距離を離したはず。それで翼を出すカットを後で作ってもらった。〝えらい手間がかかりましたよ〟と中野稔に言われたな、後で」
と、飯島監督は笑っていた。