2017年8月6日

第31回 ガラダマって何のこと?

 ロケーションのシーンはアフレコだったので、『ウルトラQ』の撮影スタジオである東京美術センター(後の東宝ビルト)が防音設備のないステージのために、スタジオ部分も含めてオールアフレコの場合が多かった。

 一の谷博士を演じた江川宇礼雄は、戦前は自分の製作プロダクションを持っていた映画人で、知識も教養も深い人だった。金城哲夫は一の谷博士のキャラクターが好きで、チャンスがあるとアフレコに立ち会って、江川宇礼雄といろいろな話をした。

「金城君、君は信州地方では、隕石のことをガラダマというのを知っているかい? 何かに使えんかね」
「へーっ、ガラダマって言うんですか?」
「ガラダマにモンスターが乗って、宇宙からやってくるとか」と、これは満田穧(かずほ、正しくは禾に斉)助監督。
「ガラダマ・モンスター……略してガラモン!」と、金城哲夫の心の中で物語がみるみる紡がれていく。

 フワフワと落ちて来る隕石ガラダマを見つけ、拾ってリヤカーで学校へ持ってくる少年たち。子供を扱うのがうまい円谷一ディレクターを意識して、「ガラダマ」の脚本は書き進められた。

 金城哲夫は満田助監督とロケハンで信州に出かけた。ダムとその水面に突入する巨大隕石、高熱で干上がるダム湖、隕石が割れ、まるで小山のような怪獣の姿が現れる。それはロボット怪獣の背中だった……金城のイメージはどんどん広がっていった。

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