2017年8月12日

第37回 エスカレートし続けるカネゴン

 「カネゴンの繭」は、脚本の山田正弘と中川晴之助監督、成田亨デザイナー、的場徹特技監督のブレーン・ストーミングから始まった。

 「子供たちは何かあるとお金、お金って言いませんか?」と山田正弘。「そうそう、金を食べる怪獣みたいだよな」と中川監督。「お金を食べる怪獣に子供が変身するとか」と的場特技監督。「頭がガマ口で、口にチャックが付いている」と成田デザイナー。
 「こいつは面白い」と、次々にみんなからアイデアが出てくる。体は銅貨の色、尻尾にはコインと同じギザギザがあって、胸にはレジスターのメーターが付いて、食べたお金がカウントされていく……こんな楽しい打ち合わせは初めてだった。

 成田亨デザイナーに「怪獣のデザインに、どのくらい時間をかけたんですか?」と聞いたのは、多摩川近くの自宅だった。成田さんは、こう答えてくれた。
「円谷プロに行くと、美術のセット・デザインやステージのチェック、金城君との打ち合わせと続いて時間がなくてね。朝飯を食べた朝8時から出勤までの30分くらいしか描く時間がなくて、この机でスケッチブックに描いていた」

「ああ、そうそう。カネゴンを描いていた時、始めはもっと脚が長かったんだよ。その頃、ちょうど奥さんが妊娠しててね。割烹着を着て大きなお腹でチョコチョコと台所を歩いていた。それを見たら、足が短いのも可愛いなと思って、お腹もポコンと出してみた。小さい子供って、お腹が出てるでしょ。カネゴンも生まれたばかりで、赤ちゃんみたいでいいんじゃないかと思ったんだ」

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