2017年8月27日

第52回 海底原人という名の半魚人

 野長瀬三摩地監督にはぜひ聞きたい話があった。
「『海底原人ラゴン』は3人連名の共同脚本になっていますね。あれはどういう事情だったんですか?」

「あの脚本は最初、あの島の近くの海に住んでいる半魚人が出てくる話で、これでは映画の『大アマゾンの半魚人』と同じみたいで物足りない。もう少しアイデアが欲しいと言ったら、円谷プロに出入りしていた大伴昌司君が〝SF作家の小松左京さんが日本を沈没させるアイデアを話していた〟というので、それで島全体が沈むアイデアを付け加えて、それから深海から浅瀬に転がってきたラゴンの卵とか、音楽を流すとラゴンには波の調べに聞こえて大人しくなるという設定で、ラジオを使ったサスペンスを僕が思いついて入れたり、どんどん膨らんで別の脚本になったので連名にしたんだ」

「でも、ラゴンの名前を考えたのは山浦弘靖君だったと思う。ラグーンから思いついた、いいネーミングだった。ラゴンは造形も素晴らしかった」

 成田亨デザイナーも、ラゴンはお気に入りのキャラクターだった。
「ラゴンは女性のモンスターというのが面白くて、高山良策さんにも胸を大きくしてくれと頼んだし、下半身に割れ目を作ってもらったんだよ。海草で隠してあるけどね。
 ウェットスーツをベースに作ってもらったんだ。7頭身の俳優の古谷敏さんが入ってくれて、スーツのバランスも良かった。原人だから知恵もある感じで脚本も面白かったし、博士の妹との交情も、怪獣でこういう話ができるんだという嬉しさがあった」

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