2017年8月20日

第45回 合成の新しさを求めた『ウルトラQ』

 「1/8計画」のオープニングの8分割するマルチ画面にはびっくりした。合成の中野稔さんはこう語る。
「マルチ画面自体はアメリカの20世紀FOX映画でたまに使っていて、円谷一さんにタイトルも8分の1なんだから、やってみませんかと言ったら〝そんなことができるのか!〟と言って、東京を象徴するいろいろな実景を撮ってきた。あれは実景だからマルチ画面が生きるんだ」

「日本でマルチ画面が一般的になるのは、1970年の日本万国博のパビリオンの大型スクリーンでやたら使ったからだよ。『1/8計画』は縮小センターのところでマットアートの未来的なセンターの建物や、由利子が縮んでいくところのコップみたいなガラスケース……あれは8ミリのアマチュア特撮コップの中に閉じ込められる人にわざと似せてやったり、縮小していくのも『ミクロの決死圏』じゃないけど、東宝でオヤジ(円谷英二)がやっていない手法を試してみた」

「特技監督の有川貞昌さんも、東宝だとオヤジの義弟の荒木秀三郎さんが合成撮影で『地球防衛軍』『美女と液体人間』『電送人間』と面白い撮影をやっていて、〝いつか自分も合成を生かす撮影をやってみたい〟と思っていたそうで、『ウルトラQ』ではちょっと面白い合成を考えて提案してきた。特撮の高野宏一キャメラマンと相談して新手を考えたんだ」

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