2017年8月19日

第44回 「1/8計画」の忘れられない思い出(その5)

 「ここの人はみんな親切だし、私は幸せよ」と笑いながら話す由利子。さっきまでは泣きながら万城目や一平を呼んでいたのに。
「何を言ってるんだ」と困惑する万城目に「もう帰って。死ぬ気で行ったのに、みんな酷い、ひどいわ」と由利子は部屋を出て行き、巨人の出現で逃げ惑う人々の渦に巻き込まれ、階段でつまづいてスローモーションで倒れ込む……。

 病院へスポーツカーでやってくる万城目と一平。
「大丈夫かな、由利ちゃん」
「駅の階段から落ちるなんて、彼女、疲れてるんだよ」
 2人の会話で、私は「えっ、ひょっとしてこれは駅で転んだ由利子の見た夢なのか」と思った。

 ベッドの上で目を覚ます由利子。同じ大きさの万城目と一平に気づくと……
「ああ、淳ちゃん、一平君。小さくなったのね。そうよね、みんなが小さくなれば、同じことなんだわ」と喜ぶ由利子。
「一平、医者を呼んでこい」と小さく言う万城目。そこにナレーションが流れる。
 かつて人類は身長18メートルの大きさがあったという。いつ、誰の手で、何によって今の大きさになったかは謎である、と。

 そして幕となるのだが、このラストはすごく印象に残っていて、中学1年生の時、再放送で脚本・金城哲夫というクレジットに気がついた。由利子の揺れる心の内面を、SFを使って200パーセント描いた脚本家の存在に気づいてしまったのだ。

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