2017年8月5日

第30回 人間のシルエットを破壊したい!

 的場徹特技監督を南新宿にあった事務所に訪ねたのは1979年頃のことだ。的場さんは当時、ドキュメンタリー映画の監督になって、難病や障害のある患者を長く取材して映像記録を撮り続けていた。その事務所で『ウルトラQ』の思い出を聞かせてもらった。

「製作部に東京中の廃品回収業者を当たって、さっき多摩川の辺りですれ違った、あの人を探してくれと頼んだんだ。ミニチュア・セットのサイズも下げられるし、もっと凝ったセットも作れるだろう。何より、ゴジラみたいな怪獣のイメージを変えられる」

「円谷英二さんにも言ったことがあるんだけど、ゴジラやラドンを見ても、人間のシルエットと変わらないんだよ。僕も大映の『宇宙人東京に現わる』で星形のパイラ人を作ったけど、まだラテックスを知らなくて、失敗してしまった。何とか人間のシルエットじゃない怪獣や宇宙人を作りたかったんだ」

 的場徹特技監督の作る怪獣は、ガラモン、カネゴン、M1号、ゴーガ、セミ人間、バルタン星人、グリーンモンス……と、シルエットにした時、人間のボディーラインを感じさせない怪獣、宇宙人が多かった。
 「僕や成田君は、目指すのはアンチ円谷英二だって言ってたんだよ。円谷プロで、円谷英二さんがやっていない映像や合成、怪獣を作ろうと思っていた」と的場特技監督は語った。

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