2017年8月21日

第46回 盛り込みすぎた怪獣ゴルゴス

 「ゴメスを倒せ!」の脚本を書き上げた飯島敏宏監督は、いよいよ『ウルトラQ』のディレクターに乗り出していく。

 『ウルトラQ』の前にフジテレビで製作する予定だった特撮TV映画『WOO(ウー)』で、富士五湖と富士山の樹海をロケハンしていた金城哲夫が、富士の樹海に住んでいるターザンのような少年タケルと、子供の時に彼と別れた姉、その少年ターザンを何とか人間社会に戻そうとする中年の警官、そして謎の岩石怪獣ゴルゴスのストーリーをまとめ上げた。この警官は飯島監督好みのキャラクターで、後に『帰ってきたウルトラマン』の「落日の決闘」で、飯島脚本の中に再登場する。

 飯島監督は『月曜日の男』でも、車が崖から落ちていくシーンを、ドラム状の背景を回して30センチくらいのミニチュアの車を使って撮ってしまうディレクターだったが、初の特撮テレビは少しとっちらかった雰囲気になってしまって、金城の脚本もドラマの中心を見失った感じで、この「富士山SOS」は凡作の印象に終わった。

 成田亨デザイナーは、岩石の怪獣というアイデアに沿って鋭利な岩状のゴルゴスのデザインを10枚近く描いたが、高山良策の造形は腹部がブヨブヨしていて、ゴルゴスに乗るタケルの人形も人形然としてしまって、狙った成果が挙げられなかった。
 飯島演出のテクニックとスマートさは、2本目の「地底超特急西へ」で発揮されることになる。

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