2017年8月22日

第47回 いなづま号の撮影方法

 南新宿にあった的場徹特技監督の事務所で、1979年頃「地底超特急西へ」のいなづま号の撮影方法を詳しく聞いた。

「全編でいなづま号がトンネルの中を走って行くでしょう。あれはステージを暗幕で覆って、トンネル内の壁のセットの両側に明かりを作り、2本のレールをステージの扉の外まで延ばして、奥へ行って、また奥から手前に走らせてというのを繰り返して撮影しただけ。横にレールを敷いて、その上でカメラを走らせて移動撮影のように撮ったカットもある。わざとブラして撮影したりもした。
 大半の撮影はノーマルスピードで、ハイスピード撮影は少しだけ。その方がスピード感が出るんだ。フィルムの使用量が少なくて済んで、市川利明プロデューサーから礼を言われたりしたよ」

 的場特技監督は、飯島演出の合成の上手さも褒めていた。
「暴走したいなづま号の先頭車輌が、子供たちの楽隊が演奏している前をシャーッと通り抜けるカットもちゃんとギャグになっているし、海岸線のところもしっかりロケ撮影に行ってた。列車の後ろの扉が開いて、イタチ少年がそこに立ったまま〝ない!〟というのも、合成カットとして見事で〝この監督、やるな〜〟と感心した」

 成田亨デザイナーのM1号の思い出はこうだった。
「最初、M1号はアメリカのSFイラストを参考にしようと考えたんだけど、人間よりちょっと知恵が足りないみたいだから猿っぽい感じでいいかと思ってああなった。
 ところが、高山さんの工房に行ったら、M1号の顔がなぜか的場さんに似ていて、〝ありゃ、これじゃあ的場1号だ〟とびっくり。〝意識されたんですか?〟と高山さんに聞いたら〝とんでもない、偶然です〟と言うので2人で笑ってしまった。そのことをまず思い出すね」

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