2017年8月10日

第35回 未知の生物というウルトラ怪獣

 「ガラモンを作ったことでウルトラ怪獣のラインは見えてきたと思った」と成田亨デザイナーは語る。

 ガラモンをよく見ると、首がないことに気づく。ガラモンが方向を変える時は、チョコチョコ足を動かして体全体の向きを変える。何だか小さな子供の動きを見ているようで、そこにある可愛らしさが出ているのだ。魚のコチからの発想なのか(魚には首がない)、見ようによっては歩いている魚のような感じもあって、まさにどこにもいない生命体だった。

 ロボットと言っているのに、動きを止める時、目蓋を閉じて、ガクッと開いた口からドローッと液体が流れる。機械生命体のような感じで、まさに未知の存在そのものだった。

 シュールレアリズムの前衛彫刻家だった成田亨デザイナーの真骨頂は、チルソナイト製の電子頭脳で、シンメトリーではないむき出しの金属結晶みたいな断面の形をしていて、ガラモンを操るのにふさわしい電子頭脳だった。

 電子頭脳から発信する誘導電波を遮断するだけで、ガラモン自体は壊せないというストーリーも、未知の宇宙文明の底知れぬ力を実感させてくれて、「こういう終わらないストーリーのやり方もあるのか!?」と、ラストの不気味な余韻に金城哲夫のスマートな語り方を感じた。
 「ガラダマ」は『ウルトラQ』の独特の味わいを持つ代表作の一本だと思う。



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