2017年8月14日

第39回 「カネゴンの繭」の異様さ

 円谷英二社長は『ウルトラQ』の製作がスタートした時に決めていた大原則があった。
「作品の決定権は、本編のドラマ監督にある。特撮班は、ドラマ班の監督の指示に従うこと」
 特撮マンの会社なのに、ドラマの中で特撮が生きるべきであって、特撮ばかりが目立つのは本流ではないという主張だった。

 飯島敏宏監督から何度もその話を聞いた。
「だから、実相寺(昭雄)が『ウルトラマン』で特撮カットをどんどん切っていっても、特撮班は文句を言えなかった。もっとも実相寺の方も撮りすぎていて、本編も捨ててたけどね。これは円谷さんが決めたことだって、一さんも言ってた。『ウルトラQ』の時に、その話は聞いていたからね」

 中川晴之助監督に、なぜ「カネゴンの繭」には万城目や由利子が出ていないんですかと聞いた時の答え。
「気がついたら、万城目たちが出るシーンがなかった。脚本の山田正弘さんがどうするって言うから、まあ出なくてもいいんじゃないか、出ない方がいい話になるし、出さなくていいよと僕が言ったんだと思う」

「『鳥を見た』のエンディングもそうで、その作品を生かす形にしたかった。カネゴンの回は、フィルムを回しすぎて〝フィルム食いのハルゴン〟って嫌みを言われてね(笑)。造成地の景色が撮影中にどんどん変わっていって、スタッフに呆れられた作品だよ」

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