2017年10月8日

EX7 ミュータントがやってきた!

 『アンバランス』の企画が始まった頃について、梶田興治監督はこんな話をしてくれた。1979年頃のことだ。

「1963年から1964年にかけて、ミュータントという言葉が妙に流行った時代で、突然変異という意味だけじゃなくて、後の新人類みたいな新しい世代が出てきたというよなイメージで、略してミューとか言ったり、僕が助監督をしていた東宝映画『海底軍艦』(1963/監督・本多猪四郎、特技監督・円谷英二)の中で、ムー帝国の映画フィルムを入れた箱に〝MU〟と書いてあるのも、このミューに引っかけてあるんです」

「1962年頃からソビエトがアジア地区で原水爆実験をしていて、このミュータントの感じも『アンバランス』の中には入っていて、放射能だけじゃなくて、いろいろなバランスが壊れた時、怖ろしい異変が始まるというイメージを出せたんだと思うよ」

 思い出してみると、ソビエトの原水爆実験の後、雨が降っていると、大人の人から「雨に放射能が入っているから、頭が濡れるとハゲるぞ」とか脅かされて、空の黒雲を見上げるとゴジラの幻影を見たように思ったものだが、『アンバランス』の企画時は、そういう時代だった。

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