2017年10月21日

EX20 『ウルトラQ』のブルーバック合成の秘密

 2017年9月、中野稔さんと合成について話していて、『ウルトラQ』の技術的な話が続いた。「円谷プロにはブルーバックの設備なんてあったんですか?」と私が聞くと、中野さんはこう答えてくれた。

「円谷プロにはブルーバックの設備なんてないよ。『ウルトラQ』のブルーバック合成やスコッチバック合成は、東宝の設備を夜に借りて、特撮キャメラマンの真野田陽一さんがアルバイトでキャメラを回して、素材作りをやってくれた。
 真野田さんは『ゴジラ』のサード・キャメラマンで、オヤジ(円谷英二)は荒木秀三郎さんみたいに合成撮影もやれるようにしたかったらしくて、円谷プロ創立の時から真野田さんはよく円谷プロに顔を出していた。クレジットに出てないけど、『ウルトラQ』の合成シーンの戦力だったね」

「真野田さんは『帰ってきたウルトラマン』の後半で特技監督になって、10本近く特撮シーンを指揮してたし、映画の『キングコングの逆襲』や『日本海大海戦』の特撮のセカンド・キャメラマンで富岡素敬キャメラマンを支えてたからね。
 オヤジが『ウルトラQ』でブルーバック合成の撮影をやらせた成果じゃないかな。合成の素材やマスク作りを知っているから、合成シーンの組み立ても、いろいろ工夫してたよ」

 円谷プロの技師だけじゃなくて、東宝特殊技術課のスタッフも『ウルトラQ』の特撮シーンを支えていたのである。 


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