2017年10月15日

EX14 戸川一平というバイプレーヤー

 「マンモスフラワー」を見ていて、万城目淳と江戸川由利子、戸川一平の主人公トリオの会話シーンで、万城目と由利子のやりとりに「おふたりの口ゲンカ見てると飽きないね」と一平が笑う。2人に睨まれる一平だが、由利ちゃんが「淳ちゃん」「一平くん」、万城目が「由利ちゃん」「一平」、一平が「先輩」「由利ちゃん」とそれぞれ呼び合う金城哲夫が考えたこの会話シーンで、「このSFドラマは単なる子供番組とは違うな」と思った。

 戸川一平はギャグ・メーカーの役割も持っていて、「鳥を見た」でスポーツカーに飛び乗るや、両足を上げたまま走って行ったり、「甘い蜜の恐怖」でハニーゼリオンの原液をなめようとして止められ、由利ちゃんに「一平くん、あわや巨人になるところよ」と言われてあわてたり、「宇宙からの贈りもの」で、金の玉だと思って由利ちゃんにネックスレスとしてプレゼントして得点を稼ごうとしたり、どのディレクターも一平のおっちょこちょいで陽気、笑顔をふりまくコメディ・リリーフぶりを作品の中で展開した、

 東宝の助監督時代から、長く一平役の西條康彦の演技力を見てきた野長瀬三摩地監督は「バルンガ」「海底原人ラゴン」「ガラモンの逆襲」と見せ場となる芝居場を用意し、独特のコメディ・センスを持つTBSの飯島敏宏監督は「地底超特急西へ」「2020年の挑戦」で万城目と一平を分離させ、堂々とギャグとシリアスの両方の芝居を西條康彦にやらせて、メイン・ストーリーを進行させた。

 2回ほど西條康彦さんとはイベントでお会いしたが、野長瀬三摩地監督と10年ぶりに再会した時は「三ちゃん」と呼んで固い握手をして、2人で『ウルトラQ』の思い出話に花を咲かせていた。万城目淳、江戸川由利子と共に戸川一平もまた『ウルトラQ』の主役なのだ。

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