2017年10月20日

EX19 「変身」のクライマックス・シーン

 梶田興治監督は「変身」のラストシーンで、ミニチュア・セットの中に実景の道を歩いていくあや子役の中真千子を合成し、火の見櫓に登らせて、浩二役の野村浩三の巨人の眼前で見つめ合う合成シーンを作り、ミニチュアの火の見櫓の人形のあや子とのカットバックで「お願い、山に帰って!」とあや子に叫ばせ、セリフではなく見つめ合う芝居を成立させた。

「本多猪四郎監督の『キングコング対ゴジラ』のコングと浜美枝の時より、人間の目線と表情で情感が出せたと思ったけど、もうひとつ突っこめなかった。
 その後、本多監督に難しかったという話をしたんだけど、本多組の助監督に戻った『サンダ対ガイラ』の羽田空港のところで、ガイラが事務所の女性職員をつかまえるシーンの本編(ドラマ部分)と特撮のカット設計がすごくて、〝ああ、こういうやり方もあったのか!〟と思った」

「水野久美とガイラ、サンダのカットのつなぎ方、交情の演出は『フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)』より踏みこんでいて、なるほどなあと思った。『変身』を自分で演出したことで、ドラマ部分の特撮のつなぎ方について、よりわかるようになったということはあったね」
 と、梶田監督は1978年頃、語ってくれた。


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