2017年7月29日

第23回 初監督だからできたオープニング

 『ウルトラQ』の放送第2話だった「五郎とゴロー」を見ていて、伊豆の山にかかったロープウェーが揺れて、突如そのロープをつかんで宙に浮いている巨大な日本猿。そのインパクトは強烈で、ロープウェーの駅舎の上にグッと身を乗り出す巨大猿の合成も良かった。

 そして、巨大猿の全身が映り、始まるオープニング。カシャッ、カシャッとシャッター音が聞こえる感じで、ストップモーションで巨大猿の映像が画面の左右から出てきて、ブレている映像の流動感にシビれた。

 有川貞昌特技監督にその感想を伝えると、こう答えてくれた。
「東宝の映画では、特殊技術のキャメラマンの僕らがオープニングはこんな感じで、とは言い出せない。監督が決めることだからね。ディレクターの円谷一さんは『ゴジラ』と『ゴジラの逆襲』で演出の助手をやっていたから知っていたし、円谷家にはいつも顔を出していたから、こういう手もあるよと話しやすかった」

「僕の特技監督のデビュー作だから、オープニングをやりたいと言えたんだね。クレーンをゴローの手に見立てたり、五郎とゴローの目線芝居も東宝とはちょっと違う合わせ方にしたり、合成の中野稔君にもいろいろ注文を出した。
 ゴローが牛乳を飲んで口からこぼれるカットも気に入っていて、〝怪獣は何を食べているんだ?〟って、よくいろんな人に言われていたから、食べるシーンははっきり出したんだ」

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