2017年7月24日

第18回 怪獣を作り出すクリエーター(その2)

 ペギラのあの形が決まるまで、さまざまなプロセスがあった。まず初期稿の台本(山田正弘・作)から、東宝特殊美術課の井上泰幸美術副監督が羽毛の生えた翼をもつ巨大な直立モンスター(この段階で、ペギラの特徴である2本の上から生えた牙も後ろの尾もちゃんとあった)のデザインを上げていた。

 感じとして巨大なペンギン風の鳥のモンスターなのか、同時に恐竜のような肌のイメージもあった。ちょうど巨大グモや巨大猿のゴロー、ゴメス、リトラのデザインと同じ頃だったのだろう。

 南極が舞台で、予算がかかりそうで監督が決まらず、ペンディングしていた脚本だった。そこに野長瀬三摩地監督がやってきたのだ。怪獣を作り出すクリエーターも新鋭が参加していた。

 円谷英二が日本テレビの正力松太郎会長に頼まれ、指導に参加していたよみうりランドの水中バレー・ショーで、浦島太郎が乗る海亀を造形していた高山良策。古くは『ゴジラ』『ゴジラの逆襲』でビルのミニチュアの石膏モデルを製作し、東映映画『宇宙快速船』、東映テレビ『ナショナル・キッド』の特撮美術監督・デザイナーに成長していた成田亨が井上泰幸の紹介で円谷プロのデザイナーに参入したのである。

「井上さんのデザインを見て、巨大感が出ないから羽毛は要らないだろうと取って、頭に角を付けたかな。台本に表情が出るとはっきり書いてあったから、目も大事にしようと。あと全体にボリューム感を出そうと。高山良策さんとは象や犀のような大きな動物の肌や、ちょっとたるんだ肉の話をしたと思う」
 と成田亨さんは回想してくれた。

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