ペギラは高山良策にとって『ウルトラQ』で初めて作り上げた怪獣のぬいぐるみスーツであった。奥様の高山利子さんに聞いた話では、横浜の洋書を扱う本屋に行って、動物の骨格や筋肉の構造に関するぶ厚い英文の本を入手して、怪獣作りの参考にしたという。
素材となるラテックスは、『鯨神』の3メートルサイズのクジラを作る時、京都の造形家だった大橋史典から原料とその加工と完成までのノウハウを学んでいて、自分流に工夫を続けていた。
デザイン画のペギラは、大地を踏みしめて立つ巨獣で、安定感を出すため2本の太い脚、大きな脚のフォルムをまず決めた。幅広い翼も、こんな生物は実際にはいないわけで、アフリカ象の立派な耳のようなイメージを出せるだろうかと考えていく。
肌の処理にも悩んだが、成田亨デザイナーから「象や犀のような、たっぷりと量感のある大きな動物の肌のイメージではどうでしょう、色も犀のような感じで」とアドバイスがあり、脂肪の固まりのようなコブのモールドも考えついた。
ペギラを見た時、頭部から顔面、鼻、口と立体的な生体フォルムともいうべき曲線が見事で、最初のペギラから高山カーブとでも呼びたいラインが怪獣の体に生まれていて、ペギラが翼を振る時には「私は見た。たしかに未知の怪獣だ!」と思わせる、全身に流れるような動きがぬいぐるみスーツに与えられていた。
『ウルトラマン』の、レッドキング、ゴモラも同じで、ダイナミックな動きの中で、うねるように見える全身や尻尾は高山怪獣の素晴らしい特徴だった。
『ウルトラマン』の、レッドキング、ゴモラも同じで、ダイナミックな動きの中で、うねるように見える全身や尻尾は高山怪獣の素晴らしい特徴だった。