2017年7月13日

第7回 怪獣というのがキーワード!

 『ウルトラQ』がまだ『アンバランス』と呼ばれていた頃、「マンモスフラワー」「変身」「あけてくれ!」「宇宙からの贈りもの」……と撮影が進んでいた時、TBSの映画部制作部長・津川溶々(作家・大佛次郎の門下生で、戦後、探偵小説雑誌「宝石」の編集長を務めた人)は、プロデューサーを渋沢均から娯楽作品を長年手がけていた手練れのディレクター・栫井巍(かこい・たかし)にチェンジし、円谷プロに向かわせた。このままではシリーズの方向性が見えなくなりそうだったからだ。

 「ともかく出来上がった物を見せて下さい。まだ未完成のラッシュ・フィルムでもいいです」と栫井は円谷プロで言った。そして「マンモスフラワー」「変身」「悪魔ッ子」……と見ていって、「宇宙からの贈りもの」はまだ完成前のラッシュの状態だったが「この方向性しかないと思った」と栫井プロデューサーは私の取材に応えて語ってくれた。怪獣という要素が重要だったのである。

 「円谷英二さんに会って、怪獣路線で行きましょうと。怪獣さえ出してくれれば、SFでもファンタジーでもシリアスでもいいんです。金城君たちのアイデアもきっと生きてきます。渋る円谷さんをそう説得して、怪獣を中心にしてシリーズを作っていこうとまとめていったんです」と栫井プロデューサーは回想してくれた。

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