2017年7月25日

第19回 怪獣を作り出すクリエーター(その3)

 成田亨さんは複雑な表情でペギラの話を続けた。
「ペギラの回は、南極基地の特撮セットもデザインしたし、南極海を進む船や氷の浮かぶ海、雪原、氷山のセットデザイン、特撮カットの絵コンテも描いて特撮美術監督の仕事もやったからね。石井清四郎さんは船やトラクター、気象ミサイルのような出物のミニチュアに集中してもらった。やりがいのある仕事だったよ」

 造形の高山良策はもともと東宝教育映画の社員で、昭和23年『ムクの木の話』というアニメでは、平原とムクの木のミニチュア・セットをデザイン、造形していてアニメの冬狼が襲来して平原を氷の世界に変えていくアニメ+特撮場面を作った(このアニメ・パートの合成は鷺巣富雄が担当していた)。
 
 他にも飯沢匡プロデュースのアサヒビールのCMの人形アニメで人形造形、学研アニメの『注文の多い料理店』『ポロンギター』の美術監督として人形造形とセット・デザイン、大映京都撮影所でアメリカとの合作映画『あしやからの飛行』のレスキューヘリが向かう山と教会の特殊美術造形、大映東京撮影所の映画『鯨神』の3メートル近いクジラのミニチュア、ディズニー映画『ぼくはムク犬』の宣伝用のムク犬のぬいぐるみ(植毛したその仕上がりは見事で、ディズニープロから雇いたいとオファーがあったほどだった)と、特撮とは長く付き合ってきたクリエーターだった。

 そしてペギラは、高山さんにとって運命の怪獣となる!


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