2017年9月7日

第62回 息をのむ傑作「2020年の挑戦」(その5)

 「2020年の挑戦」は、オープニングのソラリゼーション風のネガ画面のザラッとしたビジュアルの導入部にびっくりした。

 前半で主人公の万城目淳が消滅し、由利子にもケムール人の魔手が迫り、同僚のカメラマンが現像中に由利子の目の前で消えてしまうショック演出。老刑事(柳谷寛)や一平、航空自衛隊の天野二佐(小林昭二)の3人で万城目を助けられるのか!?という、まったく予想のつかない展開で、最高のサスペンスとSFタッチの中にギャグが入ってくる飯島演出のスマートさに感心した。

 ケムール人と交信した科学者の小説や日記をうまく使ってケムール人の設定を紹介していて、金城哲夫の脚本の構成と飯島演出のビジュアル・インパクトが見事なSFストーリーを盛り上げた。

 合成をうまく使っていく有川貞昌特技監督のメリハリのある特撮演出もドラマ部分、特撮シーン共に効果を上げていて、「虹の卵」もそうなのだが、『ウルトラQ』のドラマ&特撮のバランスの良いアンサンブルはこの2本で完成ともいうべきレベルに達していた。

 『ウルトラQ』は「宇宙からの贈りもの」「バルンガ」と、ラストシーンで終わらないストーリーの不思議なムードが印象に残っていたのだが、「2020年の挑戦」のラストの合成まで使った老刑事の運命には仰天した。最後の10秒まで、見ている人を楽しませようというテレビマンのこだわり、工夫で「これこそテレビドラマの面白さ」というラストだった。

人気の投稿