2017年9月3日

第58回 息をのむ傑作「2020年の挑戦」(その1)

 『ウルトラQ』には、先行する目標となるテレビ番組があった。ロッド・サーリングが製作・脚本の中心となったSF、ファンタジーの『ミステリーゾーン』。そして1963年の1時間のSFドラマ『アウターリミッツ』の2本だ。

 特に『アウターリミッツ』は、宇宙時代に人類が出会う宇宙文明と科学が生み出す恐怖を、モンスターを前面に出して、合成も革命的で、「こうやってモンスターと合成をストーリーに組み込むのか!」と金城哲夫や中野稔を唸らせた。

 梶田興治監督は、こう当時の気分を語ってくれた。
「円谷英二さんと、金がいくらかかってもいいから、社会に何かを訴える作品を作ろうとよく話し合いました。金城哲夫君とも『アウターリミッツ』の話は良く出て、あのうまさは参考になりますねと話していた。『ミステリーゾーン』のロッド・サーリングのセリフの切れ味、ナレーションのうまさに金城君は憧れていましたからね」

 「宇宙からの贈りもの」は、宇宙人とのファースト・コンタクトだったが、宇宙文明の知的宇宙人は姿を見せない。『アウターリミッツ』の宇宙時代という新イメージに対抗しようと、金城哲夫は「2020年の挑戦」と「ガラモンの逆襲」の2本の脚本を書き上げる。そして、この2本をTBSの飯島敏宏ディレクター、東宝の野長瀬三摩地監督という『ウルトラQ』後半のエースともいうべき演出家がビジュアル化していくことになる。

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