2017年9月13日

第68回 侵略テーマのモンスターSF

 信州を舞台に牧歌的なムードを持っていた「ガラダマ」と違って、「ガラモンの逆襲」は宇宙人が地球を狙う侵略ストーリーのタッチを出してみようと、野長瀬三摩地監督は脚本の金城哲夫と打ち合わせを重ねた。

 中川晴之助監督の「カネゴンの繭」で、1体のカネゴンを合成で2体に見せるやり方を見て、ガラモンも3体くらい出そうと野長瀬監督は要求する。そして、ガラモンを操っている宇宙人をどう描くか?
 金城哲夫から、ラストで任務に失敗すると仲間にすぐ殺されてしまう非情な宇宙人というアイデアが出て、野長瀬監督は「昆虫型の宇宙人にしよう」とアドバイスした。
「カマキリのメスは交尾が終わるとオスを食べてしまう。昆虫は子供も親しみがあるし、それで行こう」と野長瀬監督。

 どの昆虫にするかと金城は考えるが、沖縄や九州の南方で夏に鳴くクマゼミはどうだろうと思いついた。本州に来て、アブラゼミやミンミンゼミのおとなしい鳴き声が金城には不思議だったのだ。
 成田亨デザイナーは、まるで『風の又三郎』のガラスのマントみたいにビニールの洋服をまとわせ、セミの顔をしたヒューマノイド型の宇宙人を描き上げた。

 「摩訶不思議な仕掛けを頼むよ」と的場徹特技監督に頼まれ、機電の倉方茂雄はドーム型の目の中に、光が回っているプラネタリウムのような光源を入れた抜群のギミックを両眼に仕込んで、成田デザイナーを喜ばせた。

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