2017年9月15日

第70回 もう1本の『ウルトラQ』

 『ウルトラQ』の放送が終わるらしいという情報は、「少年マガジン」の新番組『ウルトラマン』の告知で初めて知ったのだと思う。テレビまんが(アニメーション)の『鉄腕アトム』や『鉄人28号』、実写ヒーロー物の『月光仮面』『七色仮面』『隠密剣士』と、1年以上続く番組が多かったから、7ヶ月くらいで、これだけ面白い番組が終わってしまうということに驚くと同時に、がっかりしてしまった。

 そして『ウルトラマン前夜祭』を見て、「なんのこっちゃ」という感じで、新しく始まる番組の内容が想像つかず、茫然と見ていた記憶があるのだが、終わったはずの『ウルトラQ』に放送されなかった回があるとは思いも寄らなかった。

 『ウルトラQ』の再放送は1年後くらいか、「ガラダマ」からスタートして、人気怪獣の出る回から再放送していく変わったパターンだったが、1話読み切り形式のシリーズなので、特に違和感を持たずに見続けていった。
 ところが、最終回近くになったある日、テレビの前に座っていると、見たこともない『ウルトラQ』が始まっていた。「あけてくれ!」(脚本・小山内美江子、監督・円谷一)で、怪獣が出ない、時間と空間を超える四次元列車がからむ人間蒸発のSFストーリーで、その時、中学1年生だった私には13年生きてきて、一番驚いた体験だった。

人気の投稿