2017年9月11日

第66回 合成満載の「東京氷河期」

 『ウルトラQ』の怪獣で2回登場したのがペギラとガラモンだ。高山良策が製作したぬいぐるみスーツの造形が素晴らしくて、もう1本撮ろうとなったのは当然で、山田正弘、金城哲夫という『ウルトラQ』でも双璧の脚本家が、それぞれ東京アタック・ストーリーを練り上げた。

 まだマットアートという特撮の技法を知らなかったから、氷づけになった羽田空港の氷柱が下がったジェット旅客機や空港ターミナルが、写真を加工したものだとは、まるで気がつきもしなかった。 
 暖かくなり始めた南極から北極へ引っ越すために移動したペギラが、途中で立ち寄ったために、東京が氷河の世界になってしまうというストーリーは、小学6年生だった子供にもわかりやすく、自衛隊のジェット機の攻撃にもビクともしないのに、苦手なペギミンHで退散していくというラストも、妙な説得力があった。

 元ゼロ戦乗りのパイロットの父親が出稼ぎで東京へ出てきて行方不明になり、探しにきた少年と知り合う由利子。星川航空に現れる父親……と、よくこの話がペギラと結びつけられたと思うような展開で、ペギラの足下を通ろうとした少年がペギラの体重で道路にできた陥没に落ちてしまうシーンを撮るため、蛇腹式の地面をわざわざ作り、板を1枚1枚落としていって地面の下へすべっていくようにしたり、回転するカメラで空中でクルリと一回転する車の内部を撮ったり、野長瀬三摩地監督のドラマ班の映像がとにかく楽しめる作品だった。

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