2017年9月12日

第67回 野長瀬監督の入念な絵コンテ検討

 成城の西の喜多見市にある野長瀬邸で、1978年頃、「東京氷河期」の台本を見せてもらった。あの作品を見た誰もが覚えているカットの絵コンテが、台本の上3分の1のスペースに描き込まれていた。

・新聞社の窓の向こうの空をかすめる黒煙
・バーンと手前に吹き飛ぶガラス片
・割れたガラスと鉄枠だけ残った窓の向こうに立つペギラの上半身
  窓越しに見つめる由利子「ペギラだわ」。すると机の下に潜った関デスク「ペギラだって?」

 そのまま映像と同じコンテが描かれていた。さらに後ろの方を見ていくと、
・空中を飛ぶセスナ
・氷に包まれた東京に立つペギラ
・左半分にペギラの上半身、右から突っ込むセスナ
 と、これまた画面で見た映像が描いてあった。

 旋回するセスナ、雲海から突き抜けてくるセスナのカットには、円谷英二が撮影した部分もあり、円谷の編集テクニックが生かされていた。
 「随分カットも捨てて、『東京氷河期』はドラマ部分に工夫を重ねた作品で、思い出もいろいろあるね」と野長瀬三摩地監督は回想していた。

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