2017年9月2日

第57回 成長していくゴーガの面白さ

 円谷プロに集ったディレクターと特技監督の中で、野長瀬三摩地監督と的場徹特技監督は共に40代。野長瀬監督は昭和20年4月東宝撮影所に入社し、的場特技監督は戦前から大映のキャメラマンで、20年間、東宝と大映東京撮影所で日本映画の黄金時代に働いてきた人間だ。若いスタッフしかいなかった円谷プロで、テレビ・フィルムに甘んじて仕事をする映画マンではなかったのだ。

 的場特技監督はゴーガの成長を描くため、いくつものゴーガを高山良策に作らせ、ゴーガが貝殻の端をドリルのように回転させてビルの床を破ったり、目から溶解光線を出して自衛隊機を撃墜したり、手強い能力をもつ怪物に仕上げ、かつてアランカ帝国を滅ぼした伝説のモンスターをファンタスティックに演出した(ギャングの目を逃れて、像の後ろに小さなゴーガが隠れるなど、芸が細かい!)。

 密輸品を追う秘密捜査官を演じた女優・田原久子は、妖艶なチャイナドレスを身にまとい、スレンダーな美少女より豊満なヴァンプ系の女優を好んだ野長瀬監督の作品らしいキャラクターで、「いつか使ってみたい」女優の起用だった。

 特撮と合成をうまく使えば、日本のテレビ映画でもスパイやスナイパー、誘拐のサスペンスと、いくらでもドラマのスケールを拡げられることを実証したアクション作品だった。

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